テレホン法話 2023年   TEL:083-973-0111

2023年1月11日〜20日 

報恩

防府組明照寺 重枝真紹

 

私たちは、見たり、聞いたりして育まれた意識でもって、ものごとを見ている傾向があります。言い換えれば、聞いたことで意識も変わり、見える世界も変わるとも言えます。私がお預かりしておりますお寺の側には小学校があり、田植えの授業が行われています。授業で田植えを経験した小学生は、お米一粒にどれだけの手が関わっているかを知り、お米の見方が変わるようです。お米そのものは変わりませんのに、意識が変えられることで見方が変えられるのです。見える世界は、意識によって変わるのです。

浄土真宗は、聞く宗教、お慈悲の宗教とも言われます。

私ども浄土真宗の宗祖親鸞聖人は、およそ九十年のご生涯を通して、南無阿弥陀仏「われにまかせよ かならず救う」と、常におはたらきくださっている阿弥陀さまのお救いを浄土真宗のみ教えとして明らかにしてくださいました。常に阿弥陀さまに抱かれているお念仏の道ゆえに、「浄土にてかならずかならずまちまゐらせ候ふべし」と、必ず再び会うことのできる世界がそこにあり、決して死んで終わりではなく、何より独りぼっちではない人生であることを、身をもってお伝えくださいました。そして、そのことを今、多くの方々のおかげにより、お聞かせいただけております。お念仏をお聞かせいただける、この事実が、阿弥陀さまがおられる証であり、私たちが死んで終わりではない証です。お念仏には、私たちに「安らかに穏やかに幸せに精一杯、生き抜いて」との願いが込められています。私たちは、願われているのです。

私たちが生きるこの世界は、無常でありますゆえに、私たちにとって思いがけない事も思い通りにならない事も起こります。起こった事実は変えられません。ですが、私たちを慈しみ悲しみのままにはさせないと、そのお慈悲をお聞かせいただき、「安らかに穏やかに幸せに精一杯、生き抜いて」と願ってくださり、常に支えてくださっていることを知らされた限りは、そのご恩に報う生活、お念仏申す日暮らしを共にさせていただきましょう。南無阿弥陀仏。