お寺を訪ねて〝ホームページ版〟

参詣者の送迎バス

 碧い海、そそりたつ岸壁、北長門海岸国定公園の一角を占める日置町の西部、向津具半島の付け根にあたるところに経納山福正寺(波多野宏海住職)がある。

 取材の日は毎月9日の定例法座の開催日で、30年前から続く参詣者用送迎バスが運行中であった。一コースの所要時間は45分、北コースと南コースがあり、先にお寺に到着した人たちは本堂でビデオを観ながら開座を待つ。

福正寺のご門徒は遠く離れた地域に多いため、先代住職が自らバスを運転してご門徒の送迎を始められたという。

 今は、伝統法要では自家用車が半数以上だが、定例法座では参詣者のほとんどが送迎バスを利用している。

 定例法座は会員制で、毎月9日に開催。毎回届けられるご案内のハガキには、送迎バスの運行時刻表が掲載される。12月は午前中に法座が終わると、お昼に忘年会の宴、そして「ご報謝セリ市」が開催される。参詣者が丹精こめた手作りのものなどを持ち寄って行われるセリは大いに賑わい、収益は日置町と油谷町の社会福祉協議会に寄付される。

「おたから」を受ける

 桜の古木を潜りぬけて山門に入る。さまざまな大木が立ち並び、温かく包み込まれるような境内の佇まいである。

 本堂に入ると、初参式受式者の家族の記念写真が掲示してあった。

 「最初は写真を直接差し上げていましたが、20年ほど前から大きく引き伸ばして額に入れて掲示するようになりました。一年間預かって本堂に掲示すると、参詣者も大変喜んでくださる。一年後に差し上げると、今度はご自宅のよく目につくところに掲示して、子どもさんがそれを見ながら成長していかれるというのは有難いことです」と波多野住職の談。

  初参式は希望により随時行われ、昔から「おたから」と呼ばれている。遠方に居住の若夫婦でも、まずお寺で「おたから」を受けてから里帰りをする伝統があるという。「おたからを受けて、初めて人間になるんだよ」とお年寄りが言われることを聞き、お念仏の土徳とその伝統の継承を感じさせられた。

毎週開催の日曜学校

 さらに目を移すと、お釈迦さまのご生涯を描いた12枚の大きな合わせ絵が目に入る。これは40年前から続いている「少年少女合宿研修会」で、子どもたちが6枚に分割して描き、それを合わせて一枚絵にしたもので、12年にわたってご誕生から涅槃までを完成させた。

 福正寺では「松葉日曜学校」が毎週日曜日に開催されている。先々代住職の頃より不定期に続いてきたが、昭和57年より現在の形になる。

 御正忌報恩講には、子どもたちも一緒にお参りしてお斎の席につく。また降誕会や除夜会などでも、大人と共にご縁に遇うよう工夫している。

 「除夜の鐘は以前は寺族だけで撞いていましたが、日曜学校生が家族で来るようになり、今では里帰りに一家総出でいらしたりして、それはそれは賑やかなものです。日曜学校OBの懐かしい顔に会えるのも楽しみです」と波多野住職が語られるように、少年教化に取り組んでいると自ずからお寺は活性化していくものだ。

 浄土真宗の土徳がしっかりと根付いている地域では、それに安住してしまいがちであるが、福正寺では歴代住職・坊守が、常にご法座・月例行事の活性化に工夫をこらしてきた。赤ちゃん、子ども、そしてお年寄りまで、みんなが集うお寺としてこれからも弛まない努力が続く。